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「大事」と「大切」の違い徹底考察ー「大事」が一番「大切」かも?

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「大切」と「大事」

だい・じ【大事】
①重大な事件
②(一大事の略)出家して悟りを開くこと
③大切。貴重
④容易でない事。危ういこと

たい・せつ【大切】
①大いに尊重すること。大いに重要なこと
②大いに愛すること。また、だいじなこと
②愛情
④非常に切迫すること。危篤に陥ること

このようにして大事と大切は非常に意味が似通っています。

普段から意識して使い分けることもそうない二つの言葉ですが、調べてみてもこの二つは非常にあいまいな遣いわけがなされていることがわかりました。

用例の分布

合計172個の用例を調べたところ、綺麗に二分しました。

新聞では、スポーツ記事に「大事」が、広告に「大切」が多く遣われる傾向にあるようです。

小説では会話文、地の文ともに「大事」が少しだけ多く遣われるように見えますがこれは誤差の範囲かもしれません。

そのほかの書籍というのは「嫌われる勇気」という自己啓発本の類のことですが、こちらでは「大切」が多く遣われていることがわかりました。

意味・用法の分布

1.主体の分布(客体を「大事」「大切」にするひと・もの)

誰が「大事」にするか、「大切」にするか、ということです。
自分や自分以外の個人、ごく少数のグループという主観的な、主体的な感情の場合には「大事」が比較的多く遣われるようです。

対して、不特定多数(人間が普遍的に、共通して大切にするものなど)の感情の場合には「大切」が非常に多く遣われます。

2.客体の分布(主体が「大事」「大切」にするひと・もの)

自分や誰かが何を「大事」にするか、「大切」にするか、という分布です。

家族や恋人、関係の深い人、特定されない人に関しては「大切」が少し多く遣われるようです。

「大事」はそこまで突出して遣われるものはないように見えます。

3.後に続く言葉

この分布で特に注目すべきは程度を表すときの「大切さ」という言い方と、助動詞を省略した言い切りの「○○が大事。」という言い方、「大事そうに持つ」の分布です。

もう片方には少ない、あるいはまったく見られない用例ですが、決して言葉としておかしいものではないのでこれは興味深い分布です。

4.性質

今度は簡単に、「個人にとって必要で価値があるものか」「大衆に共通して(普遍的に)必要で価値があるものか」で分けてみました。

主観的な限定的価値においてはどちらも同じくらい遣われていました。

普遍的な価値においては「大切」が2倍多く遣われていました。

「大事」の語源

仏教用語の「一大事因縁」が語源のようです。

これはお釈迦様その人がこの世に衆生救済というただひとつの因縁(目的)を持って現れるという意味の言葉です。

これはたいへん意義深く、なんだか安易に使えない意味がありますね。

「大切」の語源

「大切」の「切」には「切迫する」などにも遣われるように、「差し迫る」という意味があります。
「大切」も、もとは「大いに迫る」「緊急を要する」という意味で用いられましたが、中世以後に「かけがえのないもの」という意味に変化し、1603年刊行の『日葡辞書』では「愛」と訳されています。

「大切」は「切ない」?

中世以後に「かけがえのないもの」という意味に変化したのには「肝要」というもとの意味から変化したというのが定説ですが、ここには「切」に「切なし(せちなし)」という意味があることも大きく関わっていると考えます。

「切なし」は今で言う「切ない」で、「心にかけて深く思っている」「つらい。やりきれない」という意味があります。

これは当然「肝要」とも繋がるところですが、単純になにか「もの」を客観的な重要度で見ているのではなく、主観的に「心にかけて深く思っている」という意味があることが注目すべきところです。

考察のまとめ

「大事」
「一大事因縁」という、ブッダ一人の目的のことを指す言葉が語源なので、個人的に必要とするもの、価値があるものについて言う場合に好んで使われる。
「たいせつ」より音として短く、「だいじ」という濁音の響きが口に出すと強調されるので、会話ではよく用いられるかも?
用法としては「大事そう」「○○が大事」という形の場合好まれる。

「大切」
「切ない」を連想するからか、「愛する人」、「家族」、「人間にとって普遍的に価値があるもの」について言う場合好まれる?
また、なにか特定しないで言う場合(大切ななにか、大切なものなど)に好んで遣われる。

それぞれが持つ意味は正直言って違いはないと思われます。

その語が持つ音の響きや漢字から感じる雰囲気から、ここまでで見てきたような、場面による遣い分けを無意識のうちにうんでいるのではないかと考えました。


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